9月29日(土)
一昨日(9/27)、芸術フェスタ2012の実行委員会が玉野市文化会館で開催され、提出した基本計画案が承認されたので、その内容をここで報告します。若干長いですが、興味のある方はどうぞゆっくりお読みください。
写真は、実行委員会の様子。
1. 「玉野みなと芸術フェスタ2012」の方向性と活動方針
「玉野みなと芸術フェスタ」(以下「芸フェス」という。)は、宇野港をアートハーバーとして全国に情報発信することを目的に2003年にスタート、今年10年目を迎える玉野の秋のアートイベントです。
現在、中心市街地の宇野・築港地区では、若手クリエイターに玉野に住んでもらい、楽しいまちづくりを行おうとする「うのずくり」の活動が活発化しています。又、玉野市は、来年開催される瀬戸内国際芸術祭2013に参加し、アートに親しむ町として力を入れ始めたところです。
そのような環境の中、玉野の今後のあるべき方向は、「アートが楽しい魅力ある街」を、形として作り上げることではないかと考えます。芸フェスは、これまで一貫してその方向で活動してきました。今後もその方向で進むつもりでいますし、質の高いアートを追求したいと思っています。
今年は、岡山県主催のおかやま芸術回廊・玉野会場が宇野港東山ビルで開催されます。芸フェスでは、この展覧会が上記方向性に沿った活動ということから、このイベントに共催という形で参加することとしました。
そこで、今年は同時期に、岡山から世界に向けて活躍中の音楽家を招いて質の高いクラッシック音楽を聴くイベント「クラッシックフェスタ in UNO」を開催し、芸術回廊に相応しい時間を共有していただくこととしました。
又、一昨年、築港商店街に展開したまちなかアート展「軒先計画」を、新たに完成するクリエイター交流拠点《uz》の軒先を借りて、拠点を運営するガラス作家/森美樹さんの作品を展示し、商店街散策をより楽しいものにするとともに、数年かけてこのような活動を根付かせ文化的な街の発展に繋がればと考えています。
東部地区の活動から生まれた狂言の活動については、今年発足した「玉野しおさい狂言会」が独自の活動を行うこととなり、「しおさと狂言まつり」という公演イベントを開催することとなりました。製塩文化の息づく玉野において、新たな塩に纏わる新作狂言とともに、古典の狂言にも挑戦します。
さらに毎年人気の高い「学びと遊び」をテーマとしたタマノクルーズは、今年も玉野市西部(直島諸島、玉港、三井造船、日比・渋川港、玉野海洋博物館、大槌島)に向けた「たまの西海道」を開催します。
芸フェス10年目の今年、来るべき次の10年に向けて、さらなる飛躍の年にしたいと思います。
そこで、来年2月には、関係者や市民の方々を囲んで、芸フェスの今後の進め方等を考えるシンポジウムを開催することとしています。
2. 各活動イベントの企画概要(案)
(1) 「クラッシックフェスタ in UNO」
a. 開催の目的
県内で活動している一流のプロの音楽家を招いて、音楽芸術の素晴らしさを味わっていただき、併せて県内各地区で活動されている方との新たな交流を築くことを目的とします。今年は特に、クラッシックに焦点を当て、玉野では滅多に聴くことのできない本格的な古典音楽の素晴らしさ、奥深さを存分に味わっていただくこととします。
b. 実施内容
(a) 柾木和敬イタリアオペラとカンツォーネの午後
・企画概要:イタリアオペラとカンツォーネの魅力を、イタリアミラノを拠点に精力的に活動しておられるテノール歌手柾木和敬氏とその門下生カンティアーモの方に楽しく聴かせていただきます。
・開演日時、場所:11/10(土)14:00~16:00、玉野市文化会館ホール。
・プロフィール:岡山県立玉野光南高等学校卒業。国立音楽大学声楽科卒業。Accademia Europea di Musica プロフェッショナルコース修了(イタリア)。スロヴェニア国立ルブリアーナ歌劇場で歌劇「椿姫」でデビューし、ヨーロッパ各国でオペラ公演に出演。イタリアではブスコルド市立歌劇場と契約し、歌劇「トスカ」などに主役テノールとして出演する。日本では、東京、大阪などで「アイーダ」、「カルメン」、など数々のオペラに主役テノールや第九演奏会、ミサ曲などにもソリストとして多数出演する。地元岡山では、岡山シンフォニーホール主催のコンサートや、開館十五周年記念オペラ、開館二十周年“おかやま物語”オペラ「ワカヒメ」にて主役を演じる。岡山フィルハーモニック管弦楽団の第九演奏会のテノールソリスト、ルネスホール主催のオペラシリーズに主役テノールとしても多数出演する。福武文化奨励賞、マルセン文化賞受賞。藤原歌劇団正団員。現在、ミラノ在住。
写真は、柾木和敬氏のポートレート
(b) 友光雅司ピアノリサイタル
・企画概要:岡山を中心に活動しているプロのピアニストによる本格的なクラッシックピアノリサイタル。古典の代表的なピアノ曲を現代的な感覚で聴かせていただく、芸術フェスタならではの企画です。
・開演日時、場所:11/11(日)14:00~16:00、玉野市文化会館ホール。
・プロフィール:岡山県備前市生まれ。桐朋学園大学音楽学部演奏学科卒業後、オランダへ渡り、06年ロッテルダム音楽院研究科修了。「若い芽のコンサート」には93年、96年、99年と出演し、NHK岡山放送局長賞、指揮者賞、岡山県知事賞、遠山賞受賞。03年イタリアサン・ジェーミニー国際ピアノコンクールにてグランプリ受賞。これまでに日本、アメリカ、スロバキア、オランダ、イタリア、オーストリア、ベルギーでコンサート、リサイタル出演。ソロリサイタルはもとより、室内楽、音楽祭、オーケストラのソリストとして、スメタナ室内合奏団、ブラチスラバオペラハウスオーケストラ、群馬室内合奏団、ゼフィール合奏団などと共演し、精力的に演奏活動を行っている。
写真は、友光雅司氏のポートレート
(2) まちなかアート展「軒先計画」
a. 計画の目的
この計画は、宇野港~商店街等へのルートの軒先や店舗に長期的なアート作品を設置し、パブリックアートを鑑賞しながらまち歩きを楽しめる、まちなかアート展「軒先計画」を開催するものです。観て楽しく人を導くような作品を観光客や散歩がてら訪れる地域住民に身近に鑑賞してもらい、作家又は作品と鑑賞者との間に相互のコミュニケーションやクリエイティブな交流が生まれることを期待します。この地域にこのような作品(鑑賞の場)を数年かけて根付かせることにより、文化的な街の発展を目指します。
b. 出展作品及び出展者
・一昨年、美術家/清水直人氏の作品「Migratory bird→LIFE」を、築港商店街にあるアート工房るんるん島の軒先に展示し、街歩きをする人たちに街中アートの楽しさを味わっていただきました。
写真は、芸フェス2010で制作された清水直人氏の作品「Migratory bird→LIFE」
・昨年、商店街再活性化策として推進されてきた若手クリエイター移住計画と連動して、移住してくる作家の作品を移住先住居の軒先に展示する形で進めることを計画しました。
・その第1号としてガラス作家/森美樹さんの作品を新たなクリエイター交流拠点《uz》※の軒先に展示したいと考えていましたが、拠点作りが1年先延ばしとなったこともあって、今年、森さん作品による「軒先計画」を《uz》の軒先で実施することとしました。
※注:《uz》(うず):昨年発足したうのずくりプロジェクトにより、今年度事業として新たに完成した、カフェとギャラリーを併設する移住者支援のためのクリエイター交流拠点。
写真は、完成直前のuzファサード。
(3) 「しおさと狂言まつり」
a. 企画概要:玉野の地場産業である製塩に因んだ新たな創作狂言や古典狂言を鑑賞していただき、狂言の持つ笑いの芸術を多くの市民に体験していただきます。
b. イベント概要:
(b) 舞台公演:「塩」を扱った新作狂言と今年から本格的に習い始めた古典狂言を3題、プロの狂言師による本格的番組の公演を、11/25(日)、文化会館で開催。
(c) 鏡板制作WS:持ち運び容易な布製鏡板の制作WSを、H25年1~2月予定で開催。
(d) 3月公演:3/2(土)開催予定の後楽園開園記念イベント、及び3月下旬オープン予定の「たまの湯」開業記念イベントに、新作狂言の公演を計画します。
写真は、昨年5月に開催した「児島で狂言を楽しむ」の一場面
(4) タマノクルーズ「たまの西海道」
a. 企画概要:宇野港~玉港~渋川港を結び、備讃瀬戸海上から玉野市西部の歴史、地理、文化、産業を学びます。玉港では船上から三井造船の大型船進水や工場を見学、海と調和する人と産業の営みを学び、渋川港では玉野海洋博物館を見学、海の生態や環境を学ぶ等、「学びと遊び」をテーマとしたクルーズを計画します。
b. 募集概要:
(a) 開催日時:2012年11月1日(木)9:00~16:00
(b) 参加料:大人(中学生以上)4,800円、子ども(満3歳児以上)3,000円、幼児(満2歳児以下)500円
写真は、2011年タマノクルーズに乗船されたお客さんの楽しそうな笑顔。
(5) シンポジウム「楽しいアートのある街(仮)」
a. 目的と狙い:今年芸術フェスタが10年目の節目を迎えたこと、来年直島を中心とした瀬戸芸2013が開かれ玉野も参加すること、今年認定された中心市街地活性化基本計画にアートが取り上げられたこと等、玉野でも文化芸術にも目を向けようという機運が芽生えだしたところです。そんな状況を踏まえ、「アートが楽しい街とは」、「アートとは何か」、「アート或いは芸術文化が市民に与える影響は何か」といったようなことについて、識者や市民に語ってもらい、今後の玉野におけるアート活動の進め方、芸フェスのあるべき姿を探ることとします。このようなシンポジウムは、得てして不毛な議論に終始することが多いのですが、兎も角今回は、アートがまちづくりに及ぼす影響について考える機会を設けること、又、芸フェスの役割をしっかりと認識することが大事なことと考え、企画することとします。
b. 開催要領
(a) 開催日時、場所:2月3日(土)14:00~16:30、玉野市文化会館ホール
(b) 基調講演:テーマ案「カルチャークリエイティブの魅力(仮)」(講師:選考中)
(c) パネルディスカッション:テーマ案「楽しいアートのある街(仮)」。(出演者:選考中)
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