2010年12月30日木曜日

サッキータイム ~指定管理者制度-その1~

12月30日

指定管理者制度について、ウィキペディアでは次のように説明している。若干長いが引用する。
指定管理者制度とは、それまで地方公共団体やその外郭団体に限定していた公の施設の管理・運営を、株式会社などの営利企業・財団法人・NPO法人・市民グループなど法人その他の団体に包括的に代行させることができる(行政処分であり委託ではない)制度である。
「公の施設」にはいわゆるハコモノの施設だけでなく、道路、水道や公園等も含まれるとされている。地方自治法の一部改正で2003年6月13日公布、同年9月2日に施行された。小泉内閣発足後の日本において急速に進行した「公営組織の法人化・民営化」の一環とみなすことができる。
各地方公共団体が定める条例に従って、プロポーザル方式や総合評価方式などで指定管理者(以下:管理者)候補の団体を選定し、施設を所有する地方公共団体の議会の決議を経ることで、最終的に選ばれた管理者に対し、管理運営を委任することができる。
管理者は民間の手法を用いて、弾力性や柔軟性のある施設の運営を行なうことが可能となり、その施設の利用に際して料金を徴収している場合は、得られた収入を地方公共団体との協定の範囲内で管理者の収入とすることができる(地方自治法244条の2 8項)。

一般的には以下の意義があるとされる。
* 利用時間の延長など施設運営面でのサービス向上による利用者の利便性の向上。
* 管理運営経費の削減による、施設を所有する地方公共団体の負担の軽減。

一般に指摘されている問題点には以下のものがある。
* 特に地方では、後述の職員人事より以前に管理者選定の段階から既に「出来レース」となっている場合が極めて多く、「適切な管理者が見当たらない。」という理由だけで、自治体幹部職員の天下り先となっている外郭団体などに管理委託を継続して委ねる事例が見られる。
* 制度導入の真の狙いが運営費用と職員数の削減にあることから、行政改革の面だけが過剰に着目される。
* 管理者の「弾力性や柔軟性のある施設運営」の名のもとに、公共施設として不適切かつ問題のある例が以下のような事例として多く見られている。
* 「弾力性や柔軟性のある施設運営」という建前がありながら、実際には地方公共団体担当者の理解不足や条例・施行規則等に阻まれることで、民間の実力が十分に発揮できない。
* 地方公共団体が出資者となる第三セクターなどが指定管理者となり、指定管理料以外の費用を地方公共団体側が負担していることがある。この場合、財政支出の項目が二種以上にわたるため、実際に当該施設の運営に対して、地方公共団体がどのくらい経費を負担しているのかが極めて分かりにくい。
* 指定期間の満了後も同じ団体が管理者として継続して指定を受けられる保証は無く、選考に漏れるなどによって管理者が変更した場合は、殆どの職員が入れ替わってしまうことも考えられる。又、指定期間が3~5年程度と短期間であれば正規職員を雇用して配置することが困難となるなど、人材育成は極めて難しくなり、職員自身にも公共施設職員としての自覚や専門性が身につかない。
* 指定期間の短さは、人材育成と同時に設備投資や運営面での長期的計画も阻んでいる。特に教育・娯楽関連の施設では経費節減のために「場当たり的な運営」しか出来なくなることで集客力が減少し、それに伴う収益の減少によって必要経費も充分捻出できなくなり、結果として更に客足が遠のくといった悪循環に陥る可能性が高い。
* 医療・教育・文化など、本来なら行政が直接その公的責任を負わなければならない施設までもが制度の対象となっている。

指定管理者制度は、施設の管理運営全般を管理者に委ねるため、「公の施設が民営化される。」という見方をされることが多い。しかし、税金で設置された施設が一管理者によって私物化されるのを防ぐという観点からも、下記の項目などを地方公共団体の条例や協定書および仕様書などに盛り込んでいくことが必要となる。
* 定期的な収支報告会・運営協力会議などを設ける。
* 利用者であり本来の所有者でもある市民のチェック制度をきちんと機能させる。
* 管理者自身がサービス向上と改善のための情報収集を行う。
* 管理を指定した地方公共団体及び第三者機関による監査。
* 管理を指定した地方公共団体職員の頻繁なる訪問(業務によっては常駐)による指導。
* 社会保険・労働保険の加入、加入すべき職員についての手続きすべてを指定管理者が漏らさず行うこと。
* 地方公共団体からの派遣も含めた、一定率以上の正規職員が占める割合の担保

又、移行の際に自治体や旧管理者の正規職員が採用されず契約職員だけが残り、雇用だけでなく施設運営そのものに悪影響を及ぼす事例も多数存在する。移行期には、公務員として制度導入以前から勤務していた職員と制度導入以降に管理者が独自に採用した職員とが混在することになる。さらに制度導入と同時に委託元の地方公共団体との人事交流が事実上なくなるため、当該職員らに対する給与・勤務体系だけでなく人事異動も含めた身分の扱いなどが問題となる。
現在、地方公共団体の所有する施設のうち、下記の施設を中心に制度の導入が図られている。指定管理者の指定は、地域の公益法人やNPOなどが多いが、民間のビルメンテナンス会社などの指定もある。
ただし、施設の運営に関して設置者が地方公共団体であることなどを求める法律(「個別法」という)がある施設や特定の者のみがサービスを享受する学校給食センターなどはこの制度から除外されたり、複数ある同種施設の業務の一部のみを「管理者が行う業務」として委任することがある。

指定管理者制度が適用される施設には次のようなものがある。
・スポーツ関連 プール、体育館、市民球場、テニスコート等、玉野ではレクレセンター、北ヨット艇庫、総合運動公園など
・公園関連 一般の公園、霊園、植物園、動物園、水族館等、玉野では都市公園129箇所、深山センターハウス
・文化関連 図書館、郷土資料館、博物館、美術館、ホール等、玉野ではバウハウス、八浜町町並み保存拠点施設
・医療関係 公立病院、(リハビリテーションなどの)特定機能病院等、玉野ではこころの里
・福祉関連 高齢者施設、障害者施設、保育所、児童館、保養所、福祉作業所等、玉野ではしらさ工房、荘内デイサービスセンター、サンライフ玉野、和楽園など
・生活関連 下水道、斎場、駐車場、駐輪場等、玉野では、市立地区集会所、市立児童館、市営駐車場(5箇所)、宇野駅前駐輪場、渋川観光駐車場など
・教育関連 林間学校、生涯学習センター等、玉野にはなし

さて、玉野市文化会館BAUHAUSは、平成21年度からわがSNTJKが指定管理を引き受けることとなっり、今年2年目の終盤に差し掛かったところである。
ところが今年は赤字経営になりそうなのである。困ったことだ。
今日はここまで。

2010年12月23日木曜日

サッキータイム ~再び豊島へ~

12月23日(木)天皇誕生日

瀬戸内国際芸術祭終了直前の10月27日、豊島を訪れ多くの作家たちの作品を鑑賞した。だが、10月17日にオープンしたばかりだった豊島美術館は、整理券を求めないと入れないほどの人の多さで、このとき2時間待ちということで諦めて帰ったのだ。
パスポートの有効期間が今年一杯ということで、今日は天気も良かったので、再び豊島を訪れこの美術館を観に行くこととした。
家浦港から無料のシャトルバスに乗って約13分、超満員の乗客の大部分が美術館前で降りる。道路から見えるのは、前にも見たドーム型のコンクリートの屋根。まるで昔映画で見たUFOのようなイメージの建物である。一体このドームの中にどんな美術が展示されているのか?ワクワクしながら入口に向かう。さすがに今日は人が多いとはいえ、待たされることはなかった。
チケットセンターで受付を済ませ、山を取り巻くようにしつらえた歩道を一周するとアートスペースの入口だ。注意を聞き靴を脱ぎ一歩足を踏み入れると、中は何もない明るい空洞だ。広さ40m×60m、高さ4.5mの空間には柱が1本もない。コンクリート・シェル構造である。コンクリートの厚みは25cm。中での話し声は反響して幾重にも聞える。床は、撥水加工を施してあるのか物凄く水をはじき、緩やかな坂を水玉がコロコロと転がっている。天井2ヶ所に大きな開口があり、光や風が降り注いでいる。雨の日は勿論雨が入る。自然と一体となった、構造の建物そのものが美術品だ。
随分お金を掛けた作品だが、唐櫃の棚田にマッチした作品として、この地に造ったのだと思う。昔映画で見たUFOが降り立った場所は、もっと森の近くだったような気がするが、棚田も悪くはない。
アートスペースの横には、同じドーム型のカフェ&図書コーナーがあり、中で休息することも出来る。

写真は、アートスペースへの回廊、回廊から林を通して見える唐櫃港、アートスペース全景、道路から見たカフェスペースとアートスペース、道路の反対側を覗くと棚田と海が見える。

豊島は、若い頃キャンプに行ったり、魚釣りに行ったり、国民宿舎で大宴会をしたりした島であり、産廃で全国的にも有名になった島だ。又、この島で美味しいイチゴを栽培する住人がるんるん島のとんぼ玉教室の生徒になった方がいたことでも親近感を抱いていたが、このようなアートの島になろうとは夢にも思わなかった。これからも益々面白い島になることだろう。

2010年12月22日水曜日

サッキータイム ~児島で 狂言を楽しむ!~ことができるか?

12月22日(水)

倉敷市児島は、塩田王・野﨑武左衛門が生まれた地であり、そこには彼の遺した大きな邸・野﨑家旧宅がある。野﨑邸の近くに別邸・迨暇堂がある。迨暇堂は、野﨑家3代・武吉郎が貴族院議員を務めたとき、中央の客人を迎えるゲストハウスとして建てたものだとか。主屋は入母屋造の式台玄関を構え、百畳敷の大広間を有する壮大なものである。普段は非公開だが、倉敷の雛祭りのとき(毎年2月下旬~3月上旬)には、大きな段飾りが展示され一般公開される。
去年は、東野崎浜の近くにある山田小学校体育館で、創作狂言「野﨑武左衛門」を演じた。今年は、宇野中学校武道場で、新作狂言「野﨑武左衛門」を公演した。そして、来年、愈々野﨑武左衛門の生まれ故郷で公演しようではないかという話が持ち上がった。
実現するには、先ずは野﨑家の賛同が不可欠である。是非ともご理解願いたいと思う。あと問題は、色んな方の協力取付けと資金集めである。ナイカイ塩業さんや、倉敷市、児島商工会議所さんなど、多くの方のご協力が欠かせない。

サッキーの提案は、以下に示すようなものである。如何であろうか?

1. 新作狂言「野﨑武左衛門」の迨暇堂公演の意義
 今年、玉野市で公演された新作狂言「野﨑武左衛門」のあらすじは、塩田王・野﨑武左衛門の功績を称え顕彰したもので、経済人・文化人としての武左衛門の優れた人物像を分かりやすく表現しています。
 武左衛門の生まれ故郷である児島には、彼の遺した素晴らしい建築遺産・野﨑家旧宅があり、見学に訪れた多くの方がその素晴らしさと文化財に感激して帰られます。しかしながら、遺産を遺した武左衛門という人のこと、彼が築造した入浜式塩田がどのようなもので、どのような人たちがどのような気持ちで働いていたのかを知ること若しくは想像することは、実際には中々難しいことです。
 今回の新作狂言では、武左衛門の造った東野﨑浜で働いた浜子たちが日々の作業の中で彼の業績を語り、入浜式塩田での代表的な作業を所作の一つとして取り入れ、遺産を観ただけでは知ることの出来ない当時の姿を、狂言という日本古来の伝統芸能を通じて分かりやすくイメージすることができます。
そこで、児島や玉野だけに止まらず岡山県人として誇るべき偉人・野﨑武左衛門を称揚した新作狂言「野﨑武左衛門」を、生まれ故郷である児島味野の由緒ある野﨑家旧宅の別邸・迨暇堂で公演することは、製塩の歴史と塩田王・野﨑武左衛門の人となりをより深く知る上からも極めて意義深いことと考えます。

2. 公演の目的
(1) 一般の人があまり知らない郷土の偉人の業績を、武左衛門も親しんだ「狂言」という日本古来の面白い表現様式で知ってもらうことにより、郷土への愛着と誇りを育みます。
(2) 普段観ることのない日本古来の伝統芸能を、「野﨑武左衛門」という親しみやすい物語を鑑賞し、生でじっくり味わうことにより、日本文化の底の深さと日本という国の良さを肌で感じる機会を持ちます。
(3) 公演実施を通じて、塩田王・野﨑武左衛門を生んだ倉敷市児島地区と新作狂言「野﨑武左衛門」を生んだ玉野市との連携を深める機会とします。

3. 公演の概要(案)
(1) 主 催:児島で狂言を楽しむ実行委員会(仮称)
(2) 共 催:玉野みなと芸術フェスタ実行委員会、財団法人 竜王会館(野﨑家旧宅)、田賀屋狂言会
(3) 後 援:倉敷市教育委員会、ナイカイ塩業㈱、児島商工会議所
(4) 開催日時:2011年5月22日(日)14:00~15:30
(5) 開催場所:倉敷市児島味野・迨暇堂
(6) テーマ名:(案)「児島で狂言を楽しむ!」
(7) 演目&出演者:
 ①入浜式塩田及び新作狂言について(PPTによる解説)
 ②新作狂言「野﨑武左衛門」:(出演)玉野狂言講座生、(特別出演)田賀屋夙生、後見(広坂武昌)
(8) 入場料:無料(必要経費は、広告費などで賄うことで計画するが要検討)

4. 公演実現のために解決すべき諸問題
(1) 必要経費:○○万円(内訳:謝金○万円、広告宣伝費○万円、消耗品&雑費○万円)
(2) 収入確保:パンフ&プログラムへの広告収入又は協賛金○○万円
(3) 広告掲載社の確保:児島商工会議所を通じて広告いただける会社を紹介していただく。
(4) 出演者確保:2010出演者が全員そのまま残ればいいが、そうならない場合、新たな出演者を確保して基礎から練習しなければならず、公演時期は5月以降が望ましい。
(5) 広 報:倉敷市の広報誌、山陽新聞、テレビ、ラジオ、パンフ等

5. 参 考(新作狂言「野﨑武左衛門」活動の経緯)
 玉野市山田・東児地区には、塩田王・野﨑武左衛門が181年前に始めた入浜式塩田以来の長い製塩の歴史が脈々と息づき、今もこの地区最大の産業として生産が継続されています。地区に残るこれら製塩の文化や歴史遺産を後世に引き継ぐために、狂言と言う日本古来の芸能表現を使うことによって、当地区の新たな文化創造を図り、地区の地域おこしひいては玉野市の新しい文化活動の核となることを目指しました。
 又、野﨑武左衛門は、当時の岡山を代表するほどの文化人・経済人であり(茶人で、絵画・書等の目利きをし、蔵書も多くインテリであっただけでなく、財政的に池田藩にも貢献)、中でも謡いや狂言においては自らも嗜み、その催しを幅広く招聘していました。そのような実績を知るにつけ、その文化的事跡を地元の誇りとして末永く顕彰するための活動としてこの新作狂言の実現を図りたいとの思いがありました。更に一昨年の調査で、日本の伝統芸能である狂言には、酒、砂糖、酢、昆布等の生活用品に関わる演目はあったのですが、必需品である「塩」をテーマにしたものがないことも分かりました。
 そこで2009年、野﨑武左衛門の生い立ちから製塩事業成功に至る事跡、浜子唄に歌われた浜子たちの生活等を改めて調査研究し、それらの内容に基づいた塩に関する新作狂言を作り、地元住民に出演してもらうことにより、今後末永く残る山田・東児地区の新たな文化遺産とすることを目指しました。
2009年11月1~3日に開催された玉野みなと芸術フェスタ2009の第2期イベント「たまの東街道2009」のメーンイベントとして、11月1日に開催した「狂言を楽しむ夕べ」で創作狂言「野﨑武左衛門」を初公演、大きな反響と評価を得ることとなりました。
 2010年5月、新旧メンバー9名の玉野狂言講座生は、宇野地区での公演を目指して田賀屋夙生氏の指導の下、月2回のペースで練習を開始しました。今年の山田・東児地区イベント「たまの東街道2010」においては、11月14日、「わが町歴史探訪ライブ」として浜子唄ライブと新作狂言の発表を東野﨑会館で開催しました。又、11月28日、宇野中学校武道場で開催した「たまので 狂言を楽しむ!」の公演では、約180名の観客に楽しい笑いを提供し、大好評を博することとなりました。
 迨暇堂での狂言「野﨑武左衛門」公演については、昨年暮に2010年雛人形展でのイベントの一つとして話が持ち上がりましたが、実現には至りませんでした。新作狂言の題材とした野﨑武左衛門は児島出身の方であり、迨暇堂は野﨑家の文化資産でもあることから、ここでその公演を実現することが出来れば大変有りがたいことですし、今年こそその方向で話を進められたらと考えているところです。

写真は、昨年7月迨暇堂を見せていただいた時の写真である。

2010年12月21日火曜日

サッキータイム ~玉野海洋博物館~

12月18日(土)

孫たちと玉野市渋川にある玉野海洋博物館(渋川マリン水族館)に行った。
水族館の規模としてはやや小ぶりなイメージだが、魚の種類も多くよく管理されている。
玉野市に博物館や資料館、美術館と呼べる物が全くないと、確かこのBLOGでも書いたことがあると思うが、どうしてどうしてこの海洋博物館だけはシャンとしている。

1953年(S28)に開館した博物館で水族館と陳列館からなる。水族館は、大小34個の水槽に瀬戸内海の種を中心とした日本各地の海洋生物を約180種2000点を飼育展示しているそうな。
水族館では,瀬戸内海に春を告げる魚イカナゴや,ままかり(標準和名サッパ)など,瀬戸内海を代表する魚を展示しており,これらの魚種の展示は全国でも珍しいとか。
屋外には、ウミガメ・オタリア(アシカの仲間)・マゼランペンギンといった海獣類や舶用機器等の実物を展示している。

孫たちも初めて見る水族館の魚たちに夢中になっていた。
名前も知らない綺麗な魚たち、大きな水槽で悠々と泳ぐ大きな魚、愛らしいタツノオトシゴとかクリオネ、大きなウミガメにヨチヨチ歩きのペンギン、迫力満点の鯨の標本。どれも子どもたちだけでなく、大人も楽しめる空間だった。
http://www.city.tamano.okayama.jp/syoukoukankou/kaihaku/index.htm



2010年12月1日水曜日

サッキータイム ~たまので 狂言を楽しむ!~

11月28日(日)

玉野みなと芸術フェスタ2010最後のイベント「たまので 狂言を楽しむ!」は、11月28日(日)、宇野中学校体育館武道場で開催された。約200人の観客は、玉野では滅多に観ることの出来ない狂言の面白さと楽しさに大満足されていた。
新作狂言「野﨑武左衛門」は、昨年の創作狂言「野﨑武左衛門」を部分改定したものだが、内容的により面白くなるよう工夫を凝らしたものとなっていた。又、狂言受講生のレベルも昨年より向上し、所作や掛け合いの面白さに客席の反応もよく、出演者自身も手応えを感じていたようであった。

写真は上から、野﨑武左衛門と彼が開墾した入浜式塩田の説明、新作狂言「野﨑武左衛門」の各場面。
以下、公演に関するアンケート結果のまとめである。次回公演に貴重な意見が出されている。

今回公演の目的は、塩田王・野﨑武左衛門の功績を称え、玉野市に残る製塩文化や歴史遺産を後世に引き継ぐことであった。その手段として選んだのが、武左衛門も愛した「狂言」という日本古来の伝統芸能であり、地域に根ざした狂言がやがては玉野市の新たな文化として定着することをも目指そうとするものであった。
そこで、公演を観ていただいた観客の皆さんにその評価を仰ぐとともに、上記目的に賛同いただけるものかどうか、又狂言講座への参加希望をも確認し、狂言に対する興味の深さを調査すべく、アンケートを取ることとした。
結果を総括すると、狂言が非常に楽しい芸能であることを分かってもらうことができ、玉野市の新たな文化として根付かせることを希望する方が相当おられることが分かった。又、今後継続するに当たっての有意義な提言も幾つかあった。
今後の方針については、本アンケートの結果も参考にしながら、企画検討会及び実行委員会の中での充分な議論並びに講座生の意向なども踏まえて、納得の行く形の結論を導き出したい。以下、設問ごとに各回答結果を考察する。

A. 住まい(どの地域から来られたのかを確認)
開催場所が宇野地区であったこともあってか、山田・東児地区以外からの観客が87%を占めていた。山田・東児地区からは9%で、全体の96%が玉野市在住の方だった。市外からは、岡山、倉敷、早島などから数名来られていた。

B. 交通手段(会場まで何を使ってこられたのかを確認)
マイカーが圧倒的で、75%の方がマイカーであった。相乗りで来られた方もあると思われるので、およそ200×0.75÷1.5=100台くらいのマイカー(観客総数の半数)が集まったのではないかと思われる。
今回、会場が宇野中学校で校庭への駐車もできたため、観客からの不満の声がなかったのはありがたかった。人が大勢集まるイベントでは、駐車場の確保が欠かせないことを留意しなければならない。

C. 開催を知った媒体(PR方法として効果のあるものは何かを確認)
「人に聞いて」というのが63%、口コミによるPRが最大の武器であった。又、「その他」23%も内容的には「人に聞いて」であり、両者を合わせると86%が口コミであった。狂言講座生を中心とした口コミによるPRが最大の効果あることが再確認できた。又、広報たまの、チラシによる広報も不可欠の媒体である。新聞記事、TV放送を見ての来場者は僅かだったが、価値を高めるために今後とも欠かせない媒体である。

D. 新作狂言「野﨑武左衛門」楽しめたか(どの程度かを確認)
「大いに」86人(67%)と「少し」34人(27%)を合わせ120人(94%)の方が楽しんでくれた。「どちらとも言えない」0人、「大して」0人、「全く」0人であり、殆んど全ての方が新作狂言「野﨑武左衛門」を楽しい狂言であると、肯定的に感じてくれたと判断できる。今後、玉野市の文化として育て上げる値打ちのあるものと考えていいのではないだろうか。

E. 鬼山伏狂言「清水」を楽しめたか
「大いに」が92人(72%)と新作より多かったのは、プロの狂言はさすがと言う評価であろう。「少し」17人(13%)と「どちらとも言えない」2人(2%)があって、一見新作より低い評価のように見えるが、これはプロだから楽しめて当然という意見の表明なのかもしれない。
今後継続する場合、プロの狂言を含めるかどうかというのも議論の対象とすべきである。

F. 玉野に狂言を根付かせることに賛同できるか
「大いに」が89人(70%)、「少し」が19人(15%)、計106人(85%)の方が、玉野に狂言を根付かせることに賛同された。「どちらとも言えない」が12人(9%)を占めたが、否定派は0人であった。つまり、殆んど全ての方が根付かせて良いと判断されており、無視できない意見の表明と言わなければならない。

G. 参加希望は?(狂言の会への参加の意向を確認)
「大いに」が12人(9%)居られ興味を持たれた方がかなりあったが、実際に参加に結びつくかどうかは、個々に当たってみないと何とも言えない。「できるだけ」が38人(30%)あったが、これらの方が実際の参加に結びつくことはかなり難しいと思われる。「どちらとも言えない」以下の方65人(51%)は、不参加の意思表示と考えてよい。

H. 回答者の属性
(1) 年齢(どのような年齢層が多いのかを確認)
60歳台52%、70歳台22%、80歳以上7%と、60歳以上高齢者が81%を占めた。続いて50歳台9%、40歳台3%、30歳台2%、10歳台以下2%、20歳台1%の順となっていた。イベントの内容から高齢者が多いのは当然だろうが、小中学生等の子供たちにも伝統芸能の良さと地域の歴史を知るためにも、もっと観てもらうための努力が必要である。
イベント直前に狂言の特別学習があった、築港小や山田小学校への紹介なども積極的にやるべきだったか。

(2) 職業(どんな仕事をされている方が多いのかを確認)
主婦が非常に多く40%、続いて無職20%、会社員13%、自営業8%、その他6%、公務員4%、学生・生徒3%の順であった。
集客には主婦層及び定年後のお年寄り層をがっちり確保することが重要な要素ではあるが、前項とも合わせ考え、若手特に学生・生徒等への働きかけも強化する必要がある。

(3) 性別(入場者の男女比率を確認)
女性が61%、男性が36%で、例年通り女性客の方が多かったが、その差は昨年よりは少なかった。

(4) 連絡先(差し支えない方に記載していただいた)
正直な気持ちを表していただくために、基本的に無記名アンケートとしているが、24人の方(19%)が、お名前だけ、お名前と電話或いは住所も書いてくれた。ただ、参加希望欄に「大いに」と書かれたのに連絡先を書かれていない方の場合、本人への直接確認のしようがなく残念であった。

I. 意見と希望(回答者の自由意見)

・初めて見させて頂きました。中々面白かったです。
・とても面白かったです。私は初めてでした。
・玉野で狂言を楽しめてとても良かったです。狂言は初めての経験でした。皆さんとても上手でしたよ!
・玉野の狂言よろしくお願いします。
・塩の出来方の説明が長すぎました。足が痛かった。何十年ぶり、とても楽しかったです。次回も楽しみにしています。
・皆様良くお稽古され解りやすく楽しい舞台でした。古典はさすがに!!楽しく、ありがとうございました。
・出演者の皆さん、これを直接間接に支援する皆さんの努力の跡が顕著であり、感心させられました。今後も継続されることを祈念いたします。観る立場で今後も参加したい。
・久し振りの狂言でした。楽しく鑑賞させて頂きました。
・講座生の方々がとてもお上手なのでびっくりしました。マイクもないのに腹から声が出て大きな声にびっくりしました。上等な笑いでとても楽しかった。
・初めての狂言でしたが楽しませていただきました。皆さんよくせりふを覚えて練習をよく重ねられたことと思われます。武左衛門さんのことを(玉野市の文化など)勉強したいと思います。
・楽しい催しをありがとうございました。
・かっては謡の会もあり色々な人が参加していたようですが、現在はカラオケばかりでなんとも言えませんが、是非日本古典芸能を続けて欲しいものです。出演者皆様のお上手(一層の練習の賜物)に感じ入りました。
・山田地区で公演されていた時、夜だったので観に行けませんでしたが、昼の公演だと都合が良いです。奈義町で歌舞伎を根付かせています。毎年11/23に上演されているようです。玉野に狂言を根付かせることは可能だと思います。大人だけでなく、子供も参加できればいいですね。
・関係者のご尽力に敬意を表し、今後とも大変であるが一層のご研鑽を積まれ、玉野市の文化向上と市勢の発展に邁進することを期待とご依頼を申し上げます。
・大いに楽しませていただきました。ありがとうございました。
・山田・東児地区子供達の狂言 子供狂言を作って欲しい。
・今まで狂言は自分に縁のないものと思っていましたが、少々身近に感じることが出来ました。今後も頑張って下さい。
・楽しかったひとときでした。
・今回も(3回目)又、楽しませてもらいました。ありがとう。今後とも頑張って下さい。
・狂言とはどんなものかと来ました。楽しく見せていただきました。
・玉野で狂言を普及することは大変いいことだと思います。
・見るだけ
・昨年より改良進歩していたのに驚きました。
・たまにTVで見ても直ぐにチャンネルを変える程度であった狂言というものに初めて接する機会を頂きありがとうございました。参加のメンバー方の練習のご苦労、それを指導された田賀屋先生のご苦労もあったと思いますが、私にとって良い体験をさせて頂くと共に大いに笑わせて頂きました。
・初めて狂言を見て聞いてみて、少し楽しむことが出来ました。狂言は言葉遣いや仕草が大変だと思い、私も少し勉強したいと思います。
・伝統ある狂言を眼の前でみることができ素晴らしかったです。多くの人の活躍でいい舞台に感激しました。練習の積み重ねでお一人お一人がとても上手でプロの方のようです。折角の舞台にもっともっと沢山の方が来られたらよかったのに・・・、特に宇野中学校の学生の方全員みて日本の狂言を知って欲しいと思いました。今後もご活躍ください。
・努力されての演出に感激しました。古典の良さを再認識する感じです。皆さんのこの日に敬意を表します。
・子供と参加したが、鬼が出てくるところは子どもにも分かって面白かったです。
・狂言の会も巧かったですが、やはりプロの狂言師は迫力が違います。狂言は初めて見ましたが面白かったです。狂言の会の人も頑張って欲しいと思います。
・狂言を見たのははじめてだったけど、とてもおもしろかったです!ばあちゃん、とっても上手だったよ!!
・狂言に親しむ機会をありがとうございました。古典芸能を子供の頃から生で親しむ機会も大切と思われます。玉野でこの活動を根付かせ、子供に参加の機会もできれば良いと思いますが・・・
・楽しく見せていただきました。
・みることが少ない狂言を鑑賞できてよかったです。講座生の皆さんも頑張っておられ、素晴らしいと思います。ありがとうございました。
・初めて見させて頂き、狂言というものが少しわかったように思います。これから見る目が違うかもしれません。(テレビなどで見てもあまり興味がなかったのですが、言い回し、動作、声の出し方など・・・)
・見たり聞いたりするものなので、なじんで楽しめるのはむつかしい 。
・入場料が高い。
・初めて拝見しましたが、とても楽しかった。
・とても感動しました。出演者の方の素晴らしい狂言で、玉野で見れることがとてもありがたいことでございます。
・舞台のすぐ前で鑑賞できたので仕草がよく見え、足の動きなどもよく見え、声もとても大きくとても良かったです。さすが先生はすばらしく素敵でした。