2009年7月6日月曜日

サッキータイム ~宇野港ものがたり/全シャッター開放プラン~

7月5日(日)

ここ玉野市築港商店街の宇野港銀座は、昭和40~50年代にかけて賑わいを見せていた商店街であるが、今は写真にあるとおり日曜日の夕方というのに人っ子一人透らず、殆どの店がシャッターを閉じたままである。この光景は、ここだけに止まらず全国至る所に見られるものである。
写真では、軒先にずらっと提灯を吊り下げてあるのが見えるが、これは7月19日(日)に行われる「海の日築港夜市」の準備で、数日前からぶら下げられたものである。
今年、玉野みなと芸術フェスタ2009では、これら商店街のシャッターを全部開放してみようというイベントを計画している。かっての宇野港銀座の賑わい景観を、イベント期間だけでも再現できないだろうかとの思いである。ひょっとしてそのイベントを契機に、この街を何とかしようという若者が出てこないとも限らない。そんな甘い夢みたいなことを想いながら、新たな「宇野港ものがたり」を綴って行けたらと思う。

芸術フェスタのナビゲータをしている清水直人氏は、このイベントの意義を次のような文章にまとめておられる。
「地域住民の方は、この商店街に対してどのような印象を持たれているのか?」
「昔は賑わっていた。」というコメントは、よく聞く言葉である。では、現在の状況を見て、地域の方々はこの築港商店街に関心を持っておられるのか。又、商店街に対して、「もっと空き店舗が埋まって欲しい」、「このような店が入ってくれればいいが」などというご希望をお持ちなのか。
さて、芸術の一分野である「美術」は、感情や意志などの見えないものを視覚的に顕在化するものである。日常触れることのないものと対面することにより、人の心に何らかの変化を生み出す。それが芸術であり、アートの持つ力と考える。
ただ、商店街に賑わいを創出するためにアート色一本で展開しようとしても、アートファン以外の方たちとの間に壁や溝を築く可能性がある。この壁や溝を取り払うために、多くの人が関心・共有できる基盤を作ることがどうしても必要となる。
日常見ることのできない風景や光景が、その基盤になりうると考えている。この築港商店街でどのようにしてそれを作り出すか。その解の一つが美術家・佐藤氏の提案された、商店街に違和感を生み出したいという「全シャッター解放」プランである。
シャッターは、物質面と精神面の二つによって閉ざされている。
物質的にはシャッターは、開いていようが閉じていようが、シャッターであることに変わりはない。現在、多くのシャッターは閉ざされている。シャッターが閉じているのは、そこに閉ざしていたいという人間の意志が隠されているのである。
それが、一日・二日ではなく、何ヶ月・何年ともなると、個人的な意志だけでなく、社会的な問題までもがそのシャッターにのしかかってくる。1軒、2軒とシャッターが降りていくときは、問題意識を持っているが、次第にそれが日常に埋没してしまい、シャッターの閉じた店舗の前は、時として一時駐車場化されてしまうのである。
そんな現状において、もしも商店街の全てのシャッターが開くことになれば、単に物質的に変化するだけでなく、その背景の様々な人たちのエネルギーが動くということを意味する。その非日常性は、それを目にする地域の方が最もよく理解できる筈だ。
全てのシャッターが開くという大きな変化に対して、どれだけのインパクトを鑑賞者に与えることができるのか。それが、築港商店街への関心がどれだけあるのかを示すバロメータにもなると思う。この動きに目を留めた方は、今後の築港商店街への展開にきっと興味を示すであろう。以前の賑わいを取り戻したいと言う、大きなうねりを生み出すきっかけにならないとは決して断言できないと信じる。





0 件のコメント: