1月31日(日)
直島はアートの島。豊島産廃の処理施設を有する環境の島でもある。
1月末日、新春特別講演会として直島ベネッセアートの全ての建築物を設計した安藤忠雄氏の講演会があるというので、聴きに行った。
久し振りの直島訪問だったので、瀬戸内国際芸術祭の作品の一つとして昨年オープンした直島銭湯「I❤湯」に入って来た。この銭湯は、以前から直島アートに出展されている大竹伸朗氏の世界を、実際に入ることのできる銭湯という空間に作られたアート作品である。生活とアートが一体となった、全く新しい形の作品である。
昨年建築中に見たときは分からなかったが、外観は勿論、入湯料の500円を払って中に入ると、天井、壁、床、浴槽の底、窓の外に至るまでアートに満ちた風呂場となっていた。まだできて間もない(昨年7月オープン)ので浴槽も設備も真新しい。昔の銭湯に比べそんなに広いということはなかったが、外人さんが一人入っておられただけだったので、いい湯加減の湯船にゆっくり浸かることができた。
ベネッセミュージアムを見学した後、今年の芸術祭の大型作品の一つ「李禹煥(リーウーファン)美術館」の建設工事現場を見学した。今年6月頃にオープン予定だとか聞いたが、どう表現していいか分からない作品だ。中に収められる作品も素晴らしいものになるに違いない。
安藤氏の講演は、これからの日本に望みをつなぐにはどうすればいいのか、その答えが中々見つからない現状を憂えているものだった。その答えの一つが、循環型社会の実現ということではなかったのだろうか。彼の発言の幾つかを点描する。
1.建物を造ってそれがどういう風に発展するかを見ることが大事。これまで行政が造ってきた箱モノは、全て造ったら終わりだった。もうこのような箱モノはいらない。
2.明治時代のラフカディオ・ハーンは、「日本は素晴らしい国だ。素晴らしい家族があり、素晴らしい地域があって、少しだけ国を愛している。」
3.第2次世界大戦直後、興廃した日本を見た外人が「日本は必ず復興する。」「何故なら、子供達の目がきらきら輝いている。」と言ったそうだ。
4.今の興廃した状況の日本は、「絶対に復興しない。」「何故なら、若者の目がドロンとしている。」
5.バブル経済期以後に生まれた子どもは、過保護に育てられており、今の状況を打開できない。
6.女性の元気は、好奇心旺盛だからだ。
7.資源、食料、エネルギーの大部分を外国に依存しているのに、ムダに捨ててしまっている日本の状況は、必ず世界から見放されてしまう。どうやってこの問題を解消するべきか。
8.循環型社会への回帰が今望まれている。
9.瀬戸内海を海洋牧場として、世界に情報発信したい。今年、瀬戸内で行われる芸術祭も、その機会となる。
10.事例:淡路島の夢舞台、いわきの絵本美術館、台湾の森の霊園/水の納骨堂、直島の美術館群。
写真は、上から直島銭湯の玄関、1年前の建築風景、ベネッセハウスの通路に作られた壁面作品、李禹煥美術館の建築現場と発砲スチロールで作った完成模型。
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