6月8日
13日の金曜日。ヨーロッパでは、キリストが磔にされた日ということから不吉な日とされている。サッキーは以前、中途採用社員をわざと13日の金曜日に入社させたことがある。彼自身は気づかなかったようだが、入社式の日、彼にこう言った。「今日は13日の金曜日。何でこんな不吉と思われる日に入社式をしたと思う?“入社”という君にとっての再スタートの日が最悪の日だったら、この先これ以上悪い日は来ないだろう。君にとっても会社にとっても、明るい明日が来ることを信じて頑張って欲しい。」今彼は、その会社になくてはならない中堅の営業マンとしてしっかり活躍してくれている。
自啓ノート第2回は、「企業理念」ということについて考えてみたい。
企業理念或いは基本理念とは、企業経営を行う上で企業自身がどのような考えに基づいて運営して行くのかを示した究極の目標のようなもので、企業の全ての活動の根本原理のことである。
わが社は、何のために存在するのか。誰のために貢献すべきなのか。お客様や地域社会に迷惑がかからないよう、会社を維持するためにどのように行動しなければならないのか。働く社員の幸せを守るために、経営者や各社員は何をしなければならないのか。
企業理念とは、そのような企業経営を行う上で、企業が目指すべきゴールであり、方向を示す羅針盤でもある。どのような状況になろうとも変わることのない「フィロソフィ(哲学)」ということも出来る。企業が、地域社会やお客様からこの社の製品を買ってよかったと思ってもらえる、多くの人たちからそんな評価をいただけるような、社員の行動原理。それが「企業理念」である。
因みに私が最初に入社した会社・三井造船の場合はどうだろう。入社した当時(1960年代後半)、三井造船には企業理念はなかった。少なくとも教えてもらった覚えがない。増える一方の造船受注の工事消化に、それ行けどんどんで仕事するだけだった。
その後(1970年代後半~1990年ごろまで)、構造不況の波に翻弄された造船は、縮小均衡の経営に舵を取らざるを得なくなった。そんな中から新たな道を模索すべく企業理念が策定され、現在の理念は、2005年に改定された。
三井造船の企業理念は、企業の存在意義・使命を示すものとして、
「社会に人に信頼されるものづくり企業であり続けます」とされている。
この他、代表的な企業の理念を幾つか並べてみる。
・松坂屋:地域の人々との信頼を深め、社業の発展を通じて、豊かな生活文化の創造に貢献します
・天満屋:優良商品の販売を通じて地域社会の生活文化の向上に寄与する
・藤田保健衛生大学病院:我ら、弱き人々への無限の同情心もて、片時も驕ることなく医を行わん
・パナソニック:生産・販売活動を通じて社会生活の改善と向上を図り、世界文化の進展に寄与すること
・本田技研工業:人間尊重 三つの喜び(買う喜び、売る喜び、創る喜び)
・ソニー:特にないようだ。
よく見ると、どこの企業理念も似たり寄ったりの言葉を並べているではないか。社会に役立つ企業として、従業員にどう働きかけ、どのように考えさせ、行動させてゆくか。これができれば、いいのであろう。それを企業理念とするか、年度目標とするかは、その企業の歴史であり、文化であり、行動基準なのだろう。
「企業理念」これは、有るということが大事なのではなく、その企業をどう導いてゆこうとするかのトップの姿勢(意志)が大事なのかもしれない。「よし、この会社のために頑張ろう。」という気にさせることが大事なのだと思う。
そういう意味からいうと、最初に書いた13日の金曜日の話はどうだったのか?
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