2009年12月7日月曜日

自啓ノート(9) ~凡事徹底~

12月7日(月)

「凡事徹底」、この言葉の生みの親は、イエローハットの創業者である鍵山秀三郎さん。彼の講演録等を見ると、確かに何でもないけど中々やれないようなことを何十年もずっと続けてきておられることが分かる。彼の講演録の一部を紹介する。
「会社を興した私は、中途入職の社員の心が荒まないような会社にしたいと思いました。そのために、会社の中を少しでも綺麗にすれば良いと考え、朝早く会社に行ってトイレの掃除、事務所や表の掃除をしました。何か他のことに代えようと思っても、やはり掃除に戻っていたんですね。会社も大きくなり、トイレも増えて四つん這いで掃除をしていた傍で、社員が小便をしたり跨いで行ったりしていました。10年くらい経ってやっと、社員が手伝ってくれるようになりました。それが段々広まって、トイレ掃除の仕方を教えて欲しいという人が出てきて、その輪が広がって全国に「掃除に学ぶ会」(参考:http://www.souji.jp/)が出来てきたんです。
『10年偉大、20年恐るべし、30年にして歴史になる。』10年で社員がやってくれるようになって、20年たった頃には定着をして、30年たってみたら、掃除の仕方を教えて欲しいと言われるようになりました。誰でも出来るささやかなことを、バカにしないでやっていくことが大事だとつくづく感じています。」

どこの会社にも、「誰にでも出来る何でもないこと」が山のようにある。
トイレの清掃は勿論、廊下ですれ違ったときの挨拶、お客さんさんに話しかけるときの言葉遣い、事務所周りの汚れや埃の掃除、書類や図面を届ける作業、それら誰もがやっている何でもないような業務や作業、それを当たり前にキチンとやりこなすこと。感じよくしかも丁寧に素早くやること、これらがまともに出来るようになることが、本当のプロの仕事であり技である。大事なこととは思わないからとか、言っても出来っこないからとか、誰も認めてくれないからとかで、直ぐに諦めたり沙汰止みにしないことが真のプロ根性なのだろう。徹底して続けることは極めて大切なことだ。
「造船の担当技師は、タンクの清掃がキチンとやれるようになったら一人前」と教わったことがある。入社1年目に担当したタンカーは、船主監督からよくやったとお褒めの言葉だった。ところが、出航後間もなく、ボルト・ナット、スパナ等がタンクの底に残っていたと、保証技師と船長から大クレームがあった。成る程先輩が言ったのはこのことだったんだと気付かされた。暗いタンクの中の清掃チェックは、平凡な作業だが、物が大きいだけに大変だった。でも、徹底して清掃することによって、あってはならない溶接忘れの発見等もあった。
「凡事徹底」・・・人様の信頼を勝ち取る鉄則ではないだろうか。

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