2009年2月24日火曜日

サッキータイム ~私のプロジェクトⅩ-1~

第1回 プロローグ~五泉市咲花温泉にて

平成16年9月25日

この日、新潟県五泉市の咲花温泉・佐取館で、新津車両製作所創業10周年記念懇親会が行われた。
新津車両製作所は、JR東日本が自ら車両を造ることによって、自社の技術力向上を図ろうとした一大プロジェクトである。車両製造工場の建設を三井造船が、車両製造技術の指導を東急車輛製造が、JR東日本と一体となって進め、平成6年に操業を開始することとなった。それから10年後、建設&操業に携わった多くの関係者が一堂に会して行われたのがこの日の懇親会である。その折、建設当時エンジニアリングコーディネータを務めていたサッキーが体験した諸々のことを、「私のプロジェクトⅩ」として発表することになったので、その全文を数回に分けて紹介する。題して「車両新造工場建設への挑戦」
尚、プロジェクトⅩは、当時NHKの看板番組として圧倒的な注目を浴びた番組だが、このプロジェクトがNHKの番組に登場することは遂に来なかった。


♪ 風の中のすばる 砂の中の銀河 みんな何処へ行った 見送られることもなく~
中島みゆきのテーマ曲に乗って繰り広げられる、日本の戦後の歴史と文明を劇的に変えた「プロジェクトX」の男たち。NHKの人気番組「プロジェクトX」は、熱い情熱を抱き、使命感に燃えて、戦後の画期的な事業を実現してきた「無名の日本人」を主人公とする「組織と群像の知られざる物語」である。

私(サッキー)は、本日の新津車両製作所創業10周年記念懇親会に当り、車両製造工場建設のフルターンキー・プラントメーカとしての立場で、本プロジェクトの概要をプロジェクトX風のタッチで紹介することを試みることとした。
皆さん、夫々に自分の中にプロジェクトXと呼ぶことの出来る、仕事なり出来事なりがあると思う。私自身も、三井造船と言う大きな組織にいたお陰で、プロジェクトXと呼べる仕事が少なくとも二つはあったのではないかと思う。
その一つは、ノルウェーのラスムッセンと言う船会社から受注し、昭和62年に竣工した、半没水双胴型プラットフォームの所謂「ホテルバージ“ポリコンフィデンス“の建造」である。北海油田に従事する人達が生活するための設備で、定員800人の超高級ホテルである。この建造の為に、早くからプロジェクト組織を組み、綿密な計画の下に、多くの新工法を駆使しながらスムーズな建造を達成したものである。
もう一つが、本日紹介するプロジェクトで、JR東日本が世界に類を見ない、自社運用電車の一定両数を内製化する、本格的な車両製造業への進出である。三井造船は、計画の初期段階から参画し、工場建設とシステム開発並びに工場運営支援を行い、JR東日本&東急車輛製造との三社協力体制のもと、初期の狙いであった通勤型電車の年間200両生産体制を操業開始後2年にして実現した。その後もJR新津は進化を続け、現在年間250両(1日1両の生産)の生産を行う、世界一生産性の高い美しい車両製造工場、それが新津車両製作所である。(続く)

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