2010年5月14日金曜日

サッキータイム ~「アートハーバー」を考える(その2)~

5月14日(金)

「アートハーバー・ウノ」=「宇野芸術港」
これを今年の芸術フェスタのテーマ=サブタイトルにするということを表明したところ、一人の参加アーティストから猛烈な反対意見があって、今年のテーマはどうあるべきかを議論することとなった。議論への参加者は、全アーティスト5名と実行委員長であるサッキーの6名。
彼の反対の理由を要約すると、次のようなものである。

1.名前が大き過ぎること・・・芸術フェスタを超える名称であり、行政側からの押し付けの名称を連想させ、市民の理解が得られない。「人と人の繋がり」を促進するための芸術ということを重視しているとするのであれば、市民の理解を二の次にするような名称はいかがなものか。アーティストやスタッフ皆の努力が市民のためになってこその「みなと芸術フェスタ」であるべき。

2.統合やカテゴライゼーションが先にくる芸術ほどつまらないものはない・・・後付けのテーマ、それも「宇野芸術港」などという「何でもいいんだ、芸術なら、瀬戸内芸術祭があるからね」というニュアンスのネーミングを乱立させるのは、結果的、実質的に全くマイナスのイメージに繋がる。そこで行われている作家の事業、個々に行われるイベントが陳腐に映る可能性が大だと考える。直島の芸術祭が、公式には宇野、玉野を含んでないからこそ、独自の展開をして行くべきだ、と強く思う。迎合ではなく、独自性が重要なのではなかろうか。

3.「玉野みなと芸術フェスタ」でいいではないか。なぜいけないんだ・・・この名称には、名前としていいかどうかは別にして、目的というか我々のミッションが込められている。「玉野」には宇野だけではない、玉野市全体のことをやろうとしていることが含まれている。「みなと」には、勿論「港」の意味もあるが、「皆と」=with togetherつまり市民皆でやろうということを思わせる。「芸術」は正しく目的そのものであり、それを「フェスタ」に繋げる。もし、この統合の名称「玉野みなと芸術フェスタ」ではなく、別のネーミングを付けるべきというのであれば、その不都合の理由と新たな名称を具体的に提案して、そのメリット・デメリットを天秤にかけて決めるべきである。

4.サブテーマは、今年の特徴を表すものにするべきである。・・・「宇野芸術港」と言うような統合的な名前は、既に「玉野みなと芸術フェスタ」があるのだからそれを使って、今年は、今年行うイベントの特徴を示すものにすべきである。「Inner Space展」とするなら、旅行者も「そんなイベントが有るんだ」ということでそこに足を運ぶだろう。
「宇野芸術港?それって何?」となるに違いない。宇野芸術港は、全体の統合の象徴として付けるべきネーミングである。

確かに「宇野芸術港」は、宇野港の将来的なあるべき姿をイメージしたものであり、「玉野みなと芸術フェスタ」活動のゴールとして自然発生的に呼ばれるべき名称なのであろう。何年先になるか分からないが、市民或いは全国的にも、そう呼ばれるに相応しい環境が整ってこそ妥当な名称となるのかもしれない。今、直島が別名「アートアイランド」と言っても誰も不審に思わない。直島は既にそのような域まで到達している。
又、「玉野みなと芸術フェスタ」を過去7年やってきて、それで市民の方々にご協賛もいただいて続けてくることが出来た。そういった過去の歴史を安易に覆すには、それなりの覚悟がいるであろう。名称変更するには、それなりの理由付けが必要なのである。会社の事業内容の変更の時などに行う社名変更=CI(Corporate Identity)と同じく、慎重にやるべき問題である。
結論としては、今回のサブテーマとして「宇野芸術港」は止め、別のネーミングを新たに考えることとした。一人の強烈な反対意見から、宇野港のあるべき姿、玉野みなと芸術フェスタの目指すべき方向、宇野芸術港とは何かなど、参加者全員が真剣に討議する機会を持つことができ、極めて有意義な時間となった。
ナビゲータのイメージした「宇野芸術港」は、下記のロゴに示されている。このロゴが、いつの日か日の目をみるように、少しずつでも着実にやってゆきたいと強く思う。

2010年5月13日木曜日

サッキータイム ~「アートハーバー」を考える(その1)~

5月13日(木)

2003年、岡山県玉野市の玄関口にある宇野港を文化と芸術の香り高い、アートな港にしたいと始まったのが「玉野みなと芸術フェスタ」である。この時のイベントは、八木マリヨさんという環境芸術・彫刻家の縄アートバイタルリンクであり、凄いマンパワーの要った協働によるアートであり、玉野市民の多くが関わったイベントとなった。
そこで翌年(2004年)、芸術フェスタを続けることになったとき、「芸術港」即ち「アートハーバー」というもののイメージを確認するため、市民アンケートを実施することとした。

そのアンケート結果の概要を、以下に示す。
問1:宇野港を全国的に注目される芸術港として賑わい創出を図るために、「アートハーバー」と呼称することに賛同できるかどうか?
回答1:「とっても」26.7%と「そうですね」58.6%を合わせ、85.3%の方が肯定的な回答だった。一方、「どうかなー」13.9%と「全く」0.8%の14.7%の方が否定的であった。現在の宇野港を見て直ちにアートハーバーと呼ぶことに対する疑問の声と、アートハーバーを目指すことに対する肯定の声が入り混じった結果が、データとして表われたのではないかと考えられる。

問2:「アートハーバー」のイメージに相応しいものは何か?次の中から選べ。
回答2:「並木道」12.0%、「美術館」11.9%、「広場」11.1%、「工房」10.3%の4つが10%以上だった。以下順に「街灯」8.5%、「アートプロムナード」7.4%、「ベンチ」6.4%、「バラ園」5.8%、以下、レストラン、音楽堂、ミュージアム、喫茶店、ファッションビル、映画館、その他の順だった。この結果から考えられるアートハーバーには、ヨーロッパ風のロマンティックな港町の風景がイメージされているのではないかと思われる。大きな音楽堂までは要らないが、せめて美術館や工房は、アートハーバーには欠かせないとの意向が伺える。限られた予算の中から、出来るだけアートハーバーのイメージに合うものを考えてゆく必要がある回答であった。

問3:今年(2004年のこと)開催する芸術フェスタとして、どのような希望があるか?次の選択肢から選べ。
回答3:「アートガーデンやアートプロムナードなど町並み景観を良くするための芸術フェスタ」が26.2%、「オーケストラ・和太鼓・軽音楽など各ジャンル合同の大音楽会」25.6%、「広い会場を借り切って行なう、市民参加型の芸術展覧会」14.3%、「芸術大学生や地元芸術家によるアートの実演・展示」13.2%、有名な芸術家などを交えた「アートハーバー・宇野港」に関するシンポジウム開催9.9%、「アートハーバー」のイメージ創りのためのデザインコンペ9.0%、「その他」1.8%という結果であった。

自由意見に次のようなものがあった。
・昔、出張で滞在した、フランスのマルセイユの街並み、港が美しかったのが今でも心に残っています。あのような街が素晴らしいのだが、絵になる街、時が止まった街、玉野市の生き残りをかけ、頑張りましょう。
・アートハーバの視点から宇野港の将来像を描くのではなく、宇野港にどんな基本設計がふさわしいかを柱とした「まちづくり」構想を確立する事が先決である。人に感動を与えて金を使ってもらえる構想がなければ単なる夜市に終る。芸術・福祉・学生学習等多彩な体験イベントを積極的に・・・・・:
・宇野港に行けばアレがある!見れる!癒される!というモノが欲しい。
・何をもって芸術港にしようとしているのか理解できない。箱ばかり作らず、玉野の(宇野港の)自然を大切にした計画を作ってほしい。

写真は、2005年に行った野外アート展のときの、宇野港に展示された作品の一部である。これがアートハーバーというわけではないが、港にこのようなアートが散りばめられたり、散策して楽しいアートがいっぱいの港というのも、アートハーバーの要素の一つかもしれない。
アートハーバー(その1)はここまで。

2010年5月7日金曜日

サッキータイム ~孫のヴァイオリン~

5月6日

この日急遽遊びに来た孫が、前の日に習い始めたばかりのヴァイオリンを聴かせてくれるというので、パフォーマンスを見せてもらった。
先生の言う事をよく聞いているのか、自分も興味が強いのか、それなりに型にはまっていた。何といっても、ヴァイオリンをケースから出す時から凄く楽しそうな動作だったので、意外と好きなのかもしれない。
三日坊主にならないことを祈るばかりだが、褒めてやらせばこのまま続くだろうし、ある程度までは伸びるかな。母親(わが娘)の子育てやいかに・・・?
自己紹介の写真で抱いている孫が、ここまで大きくなった。子供の成長は早いものだ。
下の写真の奥に座ってポーズしているのは、弟である。

2010年5月5日水曜日

サッキータイム ~「スマイルネット玉情協」の紹介~

5月5日

岡山県玉野市に、ITとまちおこしを2本柱とするNPO法人がある。名付けて「スマイルネット玉情協」、平均年齢60ン歳超のロートル軍団である。平成16年1月に岡山県の認証を受け、今年8期目を迎えるが、今尚元気に活動を続けている。
定年退職をした元気なお父さんたち、子育てを終え何もすることなくのんびり過ごしているお母さん方。そのようなごく普通のお年寄りに、活躍の場を提供しようと設立したのが我がNPO法人・スマイルネット玉情協(略してSNTJK)である。
開設当初から、まちおこし活動としての「玉野みなと芸術フェスタ」を主催しており、これも今年8年目を迎える。SNTJKは、今ではすっかり玉野市のまちおこしNPO法人として有名になっている。
今日は、その概要を下記のようにまとめ紹介する。

◇設立趣旨・目的
 (1)IT推進:ITを活用した地域環境づくりのモデル構築、及び防災、環境などの情報ポータルサイトの構築及びシステム整備事業の推進
 (2)まちおこし:瀬戸内の人流交通結節点としての宇野港などにおける芸術・文化活動推進による、玉野市内の活性化とまちおこしの推進
◇設立経緯・沿革
 (1)前身:平成8年に設立された任意団体「玉野市情報処理産業協会(TJK)」
 (2)原点:平成14年の研究課題として取り組んだ産学連携テーマ「玉野市における高齢化対策」の結果として導かれた、特に「元気なお年寄りの活動の場」を提供するネットワーク作り
 (3)設立:平成15年4月15日設立準備委員会を設置し、同年9月24日設立総会を開催、平成16年1月13日県の認証第186号を受け、同年1月29日法人登記
◇SNTJKの組織
 (1)総会:個人会員18名(理事6名、社員12名)、法人会員4名、監事1名、顧問3名
 (2)理事会:理事長1名、副理事長1名、理事4名
 (3)事務局:事務局長1名、総務担当1名、経理担当1名
 (4)ITグループ:ITの普及・推進を担当
 (5)まちおこしグループ:玉野みなと芸術フェスタを始め、まちおこし関連を担当
◇活動状況、実績等
 (注:◆はIT関係、○はまちおこし関係、〔  〕内は助成団体)
H16年度以前
 ◆やる気サポート補助事業
 ◆「3次元マップをDB化する技術の調査研究」により、安価な3次元マップ製作方法の見通し
 ○「玉野みなと芸術フェスタ」の初開催(縄アート)〔国〕
 ○玉野みなと芸術フェスタ2004「ファンタジーワールド展」(体験アート、シャッター壁画、アート工房るんるん島設置、UNO e MAP作成)〔玉野市〕
H17年度
 ◆「高潮親水の3次元ハザードマップ」作成システムの開発により、海水面の異常高潮時の浸水予測を可能とした
 ○玉野みなと芸術フェスタ2005「はなの港・アート展」(野外アート展、体験アート、街角壁画)〔WAVE〕
 ○東備讃瀬戸エリアみどころパンフ&統一案内看板の製作
 ○港フェスティバル&築港夜市協賛(以後毎年)
H18年度
 ◆玉野市内各企業からの技術相談業務(IT関係、情報収集、企業DB更新等)
 ◆産業振興センター業務のHP作成
 ○玉野みなと芸術フェスタ2006「おみやげアート展」(玉野を感じるWS他)〔エネルギア〕
 ○観光交流推進事業(花の玉野を紹介)
H19年度
 ◆玉野市内各企業からの技術相談業務
 ◆関塾玉野ブログ等のHP作成
 ○玉野みなと芸術フェスタ2007「アートタウン山田~塩・まち・唄~」(カフェ山田・浜子唄・歴史展)〔福武〕
 ○「まなびピア2007」への協賛
H20年度
 ◆玉野市内各企業からの技術相談業務
 ◆岡山県「晴れの国づくりNET」のサイト運営
 ◆「玉野市情報推進協議会」にメンバーとして参加
 ○玉野みなと芸術フェスタ2008「たまの東街道」(散策ルート・狂言の初公演)
 ○タマノクルーズの実施(H19年度以降毎年)〔WAVE〕
H21年度
 ◆玉野市内各企業からの技術相談業務
 ◆玉野市歴史マップのデジタル化
 ○玉野みなと芸術フェスタ2009「宇野港ものがたり」(ウノイッチョウダイ展、宇野港100年歴史展)、「たまの東街道」(創作狂言「野﨑武左衛門」初演、ほか)〔福武&WAVE〕
 ○玉野市文化会館の指定管理業務受託
 ○中心市街地活性化協議会にメンバーとして参加
 ○冊子「協働Q&A」を制作
H22年度
 ◆玉野市内各企業からの技術相談業務
 ◆市内各企業の新入社員教育
 ○玉野みなと芸術フェスタ2010〔福武〕
 ○玉野市文化会館の指定管理業務
 ○中心市街地活性化協議会に設置された「アート部会」部会長として参加

写真は上から、平成9年度の総会の様子、玉野みなと芸術フェスタ2009「たまの東街道2009」での創作狂言「野﨑武左衛門」の初舞台、今年3月に制作した「協働Q&A」の目次見開き部分である。