2014年3月10日月曜日

「玉野みなと芸術フェスタ2013」活動の成果

3月10日

昨年4月にスタートした「玉野みなと芸術フェスタ2013」、今年度も無事終了を迎えようとしている。そこで、次への計画にも参考となるよう、今年度活動の成果について纏めてみた。

1.活動成果の要約
高質な音楽を聴くことのできることへの感激、異空間を創り出す芸術作品への感動、普段の生活から解放された非日常の新たな体験に対する喜び。玉野みなと芸術フェスタに参加或いは鑑賞された多くの方々は、芸術・文化の活動に深く感動されていた。芸術作品を鑑賞すること及びそれを伝える活動は、人の心を豊かにする素晴らしい活動であることが改めて実感された。

2.活動の目的
玉野みなと芸術フェスタは、宇野港を中心とした宇野・築港地区において、質の高いアートを追及し、市民とともに楽しめるアートイベントを企画、開催することによって、アートが楽しい魅力ある街を目指す。玉野みなと芸術フェスタは、経済的側面というより文化的側面から地域にパワーを生み出すことを基本理念とする。

3.活動の内容及び経過
 (1) クラシックフェスタ in UNO 2013:
 ① 「Yu & Nadya DUO Concert」 (7/20)及び「ナーヂャさんのピアノワークショップ」(7/22)
 ② 「子どもと大人のための声楽ワークショップ」(9/20)及び「慶児道代&柾木和敬ソプラノ&テノール ジョイント・コンサート」(9/22)

 (2) タマノクルーズ2013:
 宇野-直島-渋川を結び、玉野西部の歴史・文化を学ぶクルーズ。(10/21)

 (3) 南北楽観主義2013:
 香川県(南)と岡山県(北)との文化交流を目的とした、カミイケタクヤ(香川) による舞台の公開制作(11/11~15)及びカミイケ演出と身体表現研究会(岡山)によるパフォーマンス「山から/山への視線」の上演(11/16&17)、双方の地域交流の系譜と次世代をテーマにした森末治彦の講演「山と人とが結んでいた交流」開催(11/16)

 (4) 軒先計画2013:
 宇野・築港地区のデザイナー/五十嵐勝成氏とスタンプデザイナー/小山田氏の共同作品を店舗(bollard)のシャッターに描画

4.活動の成果・効果
 (1)-① クラシックフェスタ in UNO「Yu & Nadya DUO Concert」
 世界的な活動を期待されている、ヨーロッパで活動中の二人の若手アーティストによるヴァイオリンとピアノのDUO Concertにおいて、素晴らしいクラシック音楽の迫力を味わっていただくことができた。当日は、来場者全員が二人の素晴らしい演奏に感動されていた。今後とも質の高いコンサートを玉野で開き、玉野の人たちに音楽の素晴らしさを体感していただくことの大切さを感じさせた。
上記コンサート開催を機に、子供たちだけのためにナーヂャさんにピアノワークショップを開催した。ピアノワークショップにおいては、参加された方々に音楽が親しみやすいものであることを肌で実感していただいた。ナージャ先生には、最初ムソルグスキーの大作「展覧会の絵」を演奏し、皆大興奮。参加された14名全員が「非常に良かった。」と言ってくれた。

 (1)-② クラシックフェスタ in UNO「慶児道代 柾木和敬ソプラノ&テノール ジョイント・コンサート」
 今年第2弾のクラシックフェスタ in UNOは、チェコ・プラハで活動中の慶児道代さんとイタリア・ミラノが主舞台の柾木和敬さん。間近に聴く迫力のソプラノとテノールは、感動の嵐を巻き起こした。今回演奏は、ヴェルディ、ドヴォルザーク、プッチーニなどの歌曲、オペラのアリアを、最高の技巧と豊かな声量を駆使し、情感豊かに歌っていただいた。90人を超える観客は、二人の素晴らしいパフォーマンスに酔いしれ、極めて満足度が高かった。

上記リサイタルを機に、子供から大人までの幅広い音楽を楽しむ人たちのために、二人に声楽ワークショップを開催していただいた。レクチャーの始めに歌ったイタリア民謡「サンタルチア」の、腹の底から頭のてっぺんに抜ける声に、皆圧倒されていた。その後、話す声と歌う声がどうしてこんなにも違うのか、分かりやすく教えてくれた。参加した19名全員が「非常に役立った」と言ってくれた。
            

 (2) タマノクルーズ2013
今回の「タマノクルーズ2013」は、晴天に恵まれ、乗船客57名とスタッフ4名の計61名を乗せ、定刻に県営宇野港第7桟橋を出港。最初の景観ルート直島諸島に向かった。瀬戸内国際芸術祭で有名な直島本島を周回、向島、家島、局島の外側を抜け、京の上﨟島、喜兵衛島、屏風島、さらに5人ぞわいを通って、再び宇野港沖を通過、三井造船に着岸。ここで造船所のスタッフ3名が乗り込み、造船工場と機械工場を案内。その後、66BCの進水式に全員大歓声。その後、渋川港・マリンホテルへと急行した。美味しいバイキングランチと休息の後、渋川マリン水族館を見学。さらにその後、大槌島を周回、一路宇野港に帰港した。非日常の新たな体験に、乗船客全員が大いに満足されていた。
              
  
 (3) 南北楽観主義
今回「南北楽観主義」のテーマは「山」。かつて、岡山・香川両県では、金毘羅山と瑜伽山の両方を参拝する「両参り」という習慣があった。「山」をテーマにすることで、近代の経済的・物質的な交流の原動力でもあった、文化的・精神的な南北交流について改めて考察した。
「山から/山への視線」と言う哲学的テーマの舞台公演に対するアンケート結果は、従来イベントとは全く異なった傾向を見せた。来場の8割は玉野市以外だったし、公演を知った媒体は7割が口コミだった。自由意見では、感動した。美しかった。雰囲気がありおもしろかった。静かで力強くてキレイなパフォーマンスだった。あっという間に時間が過ぎて感動した。言い表すことが難しい不思議な空間と、一瞬で異空な世界観にひっぱられたような感覚だった。といったような意見が出されていた。
山からは、見えるけれど聴こえない、言葉は届かない。それでも、人は伝え続けようとする。山に登って感じたこのような考えを表現するために、カミイケ氏が創作した舞台芸術とパフォ-マンスに多くの人々が感動した。映像と影と音の組み合わせ、その異空間に引きずり込まれていた。
森末治彦氏の講演からは、南北と東西が交差することで新たな文化が生まれることを感じた。「山」がテーマの今回の南北楽観主義、観客の反応からも言えることだが、高質な作品であり価値ある取組だったと思う。
 
 
 (4) 軒先計画
共同作家のスタンプデザイナーが現在オランダ在のため、実施時期が彼の帰国後の4月以降となるが、閉まった後の店舗にも新しい魅力が生まれそうだし、作品作りの折は近隣住民にも参加していただくイベントが企画されているとのこと。今回、結果報告とはならないが、楽しみな計画である。


5.今後の課題と問題点
今回、「軒先計画」以外の何れのイベントも有料としたためチケット販売が重なり、ボランティアが基本のスタッフに多大な負担を掛けることとなった。
高質の芸術を目指すことは、方向的には正しいことである。しかし、逆にそれに比例して経費も大きくなり、イベント開催等のために必要な資金を得るための時間的/労力的負担が増えることが課題となった。

6.対応策
チケット販売方法を改善するか、最悪開催頻度を制限することも検討しなければならないと考える。具体的な対策は今後要検討。

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