2011年3月28日月曜日

サッキータイム ~「玉野みなと芸術フェスタ2010」活動報告~

3月28日

3月末は、行政機関や多くの企業で会計上の年度末である。
芸術フェスタも、活動自体は1月から2011年の活動を行っているが、会計上の年度は4月初めから翌年の3月末までとなっている。ということで、我が芸術フェスタに助成をしてくれた福武教育文化振興財団への報告書を纏め、本日提出することにしている。1年間の活動をコンパクトに纏めたものとなっているので、このBLOGでその内容を紹介する。


【目 的】
この活動は、Communication(交流と共感:地域住民と観光客・来訪者との語らいの場)、Common(文化の共有:地域住民等との文化・芸術に関する共通の話題作り)、Comfortable(寛ぎと楽しみ:そのための時間と空間の提供)という、3つのCom.を確立することを目的として活動する。
その手段として、アート作品又はアーティストの文化的側面からの提案などを積極的に取り入れ、歴史や文化をベースにした新しい芸術活動を玉野みなと芸術フェスタからスタートさせる。
この目的と手段に基づく活動を継続することによって、地域住民が、自分達の地域に対する新しい価値の発見、観光資源の発掘、住民同志や観光客との交流等を享受することが可能となる。経済的な側面からではなく、「文化的側面から地域にパワーを生み出すこと」を基本理念として活動する。

【経 過】
・ 芸術フェスタ2010の基本方針として、参加アーティストによる商店街アート展、開港80年を迎えた宇野港をテーマとしたアートイベント、瀬戸内国際芸術祭で宇野港を訪れる観光客とのコミュニケーションの場作り、新作狂言の宇野地区での開催、山田地区アート展の開催等を決定。(2~4月)
・ 昨年度立ち上げた「宇野・築港まちづくり講座」では、瀬戸内国際芸術祭で宇野港を訪れた観光客等に宇野港アートを広報するために「宇野港アート・イベントマップ」の作成に注力。(4~9月)
・ 玉野みなと芸術フェスタ2010実行委員会(8月30日)、山田・東児地区説明会(9月18日)
・ 宇野港域に人々の視線を集中させるために、長期的なアート作品を設置した。最初の作品として「Migratory bird→LIFE」を商店街に設置、「軒先計画」として進めることとした。(9月4日~10月末)
初日に出展者によるアーティストトーク及び芸術フェスタ記録展を行い、フェスタの意義を再確認した。
写真は、2003~2010年度までの芸術フェスタ記録展の模様である。


・ 宇野地区でのアートイベントとして、Spinnin Ronin Japanによる「中国武術ワークショップ」および「マーシャルアーツダンス・パフォーマンス」を開催した。(9月25~26日)
写真は、スピニンローニンジャパンの初の地方公演として、玉野市総合文化センターで開催された舞台の一コマである。彼らのダイナミックなダンスパフォーマンスに観衆は酔いしれた。

・ 70人の参加者が作る70枚の小旗を繋げできる70㎡の巨大な旗を巨大空間に掲揚する、「しあわせを招く旗」プロジェクトを開催した。(10月9~17日)
写真は、バウハウスの天井に掲揚された巨大な招き猫の旗と、その旗の下で行われたしあわせライブの模様。ほんわかした幸せなときを過ごすことができた。
・ 山田・東児地区でのアートイベント「たまの東街道2010」(11月6~7日、11月14日)及び学びと遊びをテーマとした「タマノクルーズ2010」(11月7日)を開催した。

・ 芸術フェスタ2010最後のアートイベントとして「たまので 狂言を楽しむ!Vol.3」を宇野中学校武道場で開催した。(11月28日)
写真は、11月14日に東野﨑会館で公演した新作狂言「野﨑武左衛門」の模様である。

【成 果】
・ 宇野・築港地区では、昨年のような短期イベントではなく、長期スパンでのアート展開を考え、「軒先計画」としてアート作品“Migratory bird→LIFE”を商店街や住居の軒先に展示した。作品を鑑賞する期間に期限を設けず、生活のリズムと同調させることで、作品と触れあう機会を増やすこととした。今回の作品は鳥の形状をしたオブジェで、今後も展示を継続的に増やし、宇野港域での3つのCom.作りの一助となることを願っている。
・ 芸術フェスタとして初の試みだった東京・関西在住のプロのアーティストを招聘してのダンスパフォーマンス公演は、玉野と東京夫々のアーティストが築いてきた人の繋がり・連携によって開催することができた。芸術フェスタは今後もイベントを開催するだけでなく、作家同士のコミュニケーションや連携による新たな芸術表現を積極的に取り入れることとしたい。
・ 「しあわせを招く旗」プロジェクトでは、旗作りワークショップ参加者70名が1㎡の小旗70枚を繋ぎ合わせ、招き猫の絵柄となるサイズ70㎡の巨大な旗を掲揚した。期間中、しあわせを招く旗の下「しあわせライブ」を開催、地区住民の方たちと幸せな時間を共有することができた。
・ 山田・東児地区で開催した「たまの東街道2010」では、塩の道散策ルートに特化して味野専売支局から塩竈神社に至るルートに遺る遺構などを説明した看板を立て、当地区の歴史の重みを感じてもらうことができた。「弦楽四重奏を聴く夕べ」等憩いの刻も楽しめた。
・ 昨年創った新作狂言「野﨑武左衛門」を、今年は宇野地区で開催し、多くの玉野市民に狂言の面白さを共有してもらうことができた。
・ 総括:宇野港域に約700名、東街道域に約400名の集客があり、各イベントに感銘を受けた観客がアートの良さを実感してくれていた。

山陽新聞でも、芸術フェスタは大きく採り上げられた。写真は、9月5日に掲載された同新聞玉野圏版記事である。
【今後の課題と問題点】
・ 今年は、宇野港域で活動するアーティストたちが、直島を中心とした瀬戸内国際芸術祭開催を意識して数多くの展覧会を開催、多忙を極めた。又、屋外での長期展示を必要とするまちなかアート展の作品制作には品質保持(耐候性)の点で制約が多く、展示作家の選任に思わぬ時間を要した。
・ 広報活動は、今年は比較的適切な対応が出来たと思っているが、一部タイミング的或いは広報手段として無駄な対応があった。より適時的確な手段の選択が必要である。又、最も有効な広報手段・口コミを広げるには、芸術フェスタの質的レベルを向上させ、評価をさらに高めることが求められる。

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